お客様が賃貸マンションの建築を考えられている際によく一括借上と一般管理について質問を受けます。
さて、どちらが良いのでしょうか。
これまでご相談を受けたお客様や顧問先のお客様の収支や管理状況を見聞きすると、この選択がキャッシュフローに多大な影響があり、どちらでも良いと軽視出来ることではございません。
よく考えて選択していきましょう。
賃貸マンションの管理の種類
1.一括借上(サブリース)
不動産管理に加えて、家賃保証のサービスが付加されている契約です。
入居者募集から家賃の集金や建物の保全についても一括して管理会社に任せることが出来ます。
2.一般管理
不動産管理会社へ集金業務から建物の保全等、建物と入居者の管理を全般的に行ってもらう契約です。
3.自主管理
不動産オーナーが自分で管理を行う場合を一般的に自主管理と言います。
各サービスのメリットとデメリット
1.一括借上(サブリース)
メリット
・不動産管理と家賃保証でマンション経営を一括して任せることが出来る
・入退去の心配をしなくて良い
デメリット
・礼金や更新料の収入が無くなる
・家賃相場等の賃貸経営に必要なオーナーの知識や経験が蓄積されない
・修繕等、借上業者に従わなければいけない場合が多い
・不動産管理と家賃保証のサービスかかる費用が高い
2.一般管理
メリット
・不動産管理を任せることにより、家賃集金や24時間クレーム対応、建物保全等のオーナー負担が減る
・管理と募集を一体で行う会社がほとんどのため、自主管理に比べ入居募集が決まりやすい
デメリット
・不動産管理費用がかかる
3.自主管理
メリット
・不動産管理費用がかからない
デメリット
・集金やクレームの受付等、自分で行わなければいけない
・不動産会社の入居募集の優先順位が低くなる
どのように管理方式を選んでいけば良いか
不動産会社並みの知識があり、時間に融通が利きやすい方の場合は、
「自主管理」が良いでしょう。
ですが、一般的な不動産賃貸のオーナーは不動産会社並みの知識を有している方は少ないかと思いますので、
そういった方は「一般管理」をおすすめ致します。
「一括借上」については、余程の理由がない限りおすすめ出来ません。
一括借上の契約では、 “ あんしん ” は買えない
「建築を進めていく際に一括借上により、家賃収入を長期で安定させることが出来るので、安心です。」
このような営業を受けるオーナーも多いかと思います。
賃貸の契約は、需要と供給で成り立っています。家賃相場から離れた賃料を業者はずっと保証してくれるのでしょうか。
いずれ賃料の交渉が入ってしまうことになるでしょう。
一括借上契約は、想定賃料の90%を保証しますという契約が一般的です。
不動産管理契約は、収入賃料の5%が費用となる契約が一般的です。
単純計算でいくと、オーナーが不動産管理で募集をかけていく際に一括借上の募集賃料よりも5%値引きしたとしてもオーナーの手残りはほぼ一緒になります。
入居希望者は同じ部屋であれば、賃料の高い方を選ぶでしょうか。おそらく低い方を選ぶでしょう。
加えて一括借上契約の多くは、礼金や更新料が業者の収入となってしまいます。
その点を考えても更にキャッシュフローが悪化するでしょう。
仮に建築の際に一括借上の提案を受け検討したいと思った際には、図面を信頼のおける別の不動産募集会社に確認してもらい、部屋の賃料相場をきっちりと確認しましょう。
その他にも一括借上については注意する点がたくさんあります。
何十年と長期経営となりますので、業者任せにするのではなく、ご自身で相場をしっかりと確認していきましょう。
募集について
賃貸マンション経営の一番の要は、募集です。
どんなに建築が良くても、どんなに管理が良くても、入居者が決まらなければ収入になりません。
不動産会社に任せればどこも一緒という訳ではございません。
賃貸の募集に関してはここ10年ほどで大きく変わりました。
不動産会社に出向いてお部屋探しをしていたのは昔の話になりつつあり、ポータルサイトやインターネット等でお部屋探しをする方が9割を超えてきました。
そのため、不動産オーナーも不動産会社への管理の委託や募集の依頼についても以前と同じですと入居が決まりにくくなっております。
また別の記事でお伝えが出来ればと思っておりますが、昨今の状況を鑑みますと
「建築が主ではない大手の管理・募集会社」に「一般管理・専任媒介」を頼むと良いでしょう。
募集に強く賃料は安定し、管理費等の支出も一括借上より少なく手残りが良くなります。
私たちの事務所では、不動産オーナーの会社設立や建築や不動産購入等で賃貸のご相談も多く受けております。
オーナーのお付き合いのある不動産業者に協力をお願いすることもございますし、これから管理を新しく依頼したい場合には管理会社のご紹介もさせていただいております。
必要がございましたら、お声掛けください。
椿屋会計事務所
03-3701-0013 support@tsubakiya-kaikei.jp
株式会社杜若屋
03-3701-0003 support@kakitsubataya.co.jp
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